日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: S7-7
会議情報

学術講演集原稿
岐阜大学位山演習林における森林管理と教育活動–天然木の経済的価値とヒノキ科極相林の保全–
*石田 仁
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

岐阜大学位山演習林の約550haの林地のうち,150haはヒノキ,サワラ,アスナロのヒノキ科3種が多く混交する大径木天然林である。これらの天然林は,学術参考林として研究目的以外では原則的に禁伐として自然状態で保護している。一方,現地技術職員は著しく減少傾向にあり,2014年度から補助金制度を活用した外部委託による森林整備を行っている。現在,演習林では年間2000人ほどの利用実績があるが,近年では社会貢献や地域連携が重視され,公開講座,所属学部以外の学生を対象とした全学共通教育,非農学系の学外学生の実習受け入れなど,業務内容が多様化している。臨時職員を雇用し業務量の増加に対応している。神社仏閣等の伝統建築物の修繕や維持に必要な天然大径木は全国的にも資源が枯渇しており,特に天然ヒノキは高値で取引される。大学の運営方針によっては,今後,天然林大径木が伐採収穫されていく可能性も否定できない。国立大学の独法化以降,当演習林でも収益を上げることが求められてきている。優良大径木を生産する超長伐期施業の技術を生態学的な研究成果をもとに検証しつつ,最小限の収穫を実施していくことも演習林運営のために必要かもしれない。

著者関連情報
© 2017 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top