日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P2-130
会議情報

学術講演集原稿
福岡県における海岸クロマツ林に自然侵入した広葉樹の分布
*桑野 泰光楢﨑 康二佐々木 重行
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

防災林として造成されてきたクロマツ海岸林は、近年、マツ枯れによりその機能の低下が危惧され、その対策として、薬剤防除や抵抗性マツの植栽などによるマツ林の保護や再生が行われている。一方、マツ枯れが進行した場所では、しばしば自然侵入した広葉樹がみられ、それらを活用した広葉樹林化も海岸林再生への選択肢のひとつとして挙げられる。そこで本研究では、福岡県の海岸クロマツ林を対象に広葉樹の侵入と成長の現状を明らかにすることを目的として、海岸からの距離別の植生調査を行った。調査は、海岸線から直角方向に調査ラインを設定し、出現する広葉樹について、階層別に種名、樹高、胸高直径を記録した。高木層・亜高木層では、クスノキ科、モチノキ科の常緑樹やエノキ、センダン等の落葉樹が、低木層ではトベラ、マサキ、ネズミモチ、タイミンタチバナ等の常緑樹が多かった。海岸線からの距離別の広葉樹密度や最大樹高に一定の傾向はなかった。これは、前線にマツが残っている、または前砂丘が存在する場合は、広葉樹の密度や成長に与える潮風の影響が小さくなるためだと考えられた。

著者関連情報
© 2017 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top