主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
マツノザイセンチュウ(以下線虫)は東アジアや西ヨーロッパでマツ林に激害を及ぼすマツ材線虫病の病原体であり、その病原メカニズムの詳細は明らかになっていない。先行研究では、病原力の異なる近交系2系統から組み換え近交系(RIL)が作出され、RILの病原力と増殖力には強い相関があることが明らかになった。本研究では病原力の要因の1つとして増殖力に着目し、RILを用いて解析を行った。増殖力に寄与する形質として、各RILの産卵数と孵化率を調べた。その結果、産卵数は増殖力と相関を示した(R² = 0.696)。孵化率は単独では明確な相関を示さなかったが、孵化率と産卵数を掛け合わせた値と増殖力の間には強い相関が認められ(R² =0.917)、線虫の増殖力には両形質の寄与が大きいことが示唆された。次に、既に明らかになっている各RILのSNPマーカー情報と、今回得た形質値(産卵数及び孵化率)を用いて相関解析を行い、増殖力に関わる遺伝子の探索を試みた。その結果、産卵数及び孵化率と相関のあるSNPはそれぞれ101個及び155個だった。講演ではSNPの周辺の遺伝子についての解析結果も含めて発表したい。