日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P1-125
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学術講演集原稿
集合フェロモンによってカシノナガキクイムシの飛翔特性に違いが生じるか?
*奥田 直人岡田 龍一Pham Long Duy伊東 康人山崎 理正池野 英利
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抄録

コナラ・ミズナラなどのブナ科樹木が枯死するナラ枯れは、カシノナガキクイムシが媒介する病原菌 Raffaelea quercivora が原因で引き起こされる。カシノナガキクイムシは同種のオスが分泌した集合フェロモンに誘引されること、最大で27km以上飛翔することが明らかにされているが、集合フェロモンが飛翔に及ぼす影響は明らかにされていない。そこで本研究では、集合フェロモンの合成化合物であるquercivorolを充満させたチャンバー内で、2016年6月にフライトミルによる飛翔実験を行った。結果、フェロモン環境下では、フェロモンのない環境下に比べ、飛翔距離及び飛翔時間に増大が見られた。さらに、フェロモン環境下においてのみ、30㎞を超える飛翔が記録された。この結果は、集合フェロモンがカシノナガキクイムシの飛翔特性に影響を及ぼす事を示唆している。得られた結果から我々は、フェロモンによって本来の飛翔能力が引き出されたのではないかと考えている。

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© 2017 日本森林学会
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