日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: I11
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学術講演集原稿
自作大型転倒升流量計の開発と現地観測への利用
*根木 浩輔白木 克繁各務 翔太
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キーワード: 水文観測, 野外測定, 検定
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抄録

水文観測における流量測定装置としては転倒升流量計が代表的である。ところが、雨量計や大型の転倒升流量計は高価であり多点観測には制約を伴う。本研究では、樹冠遮断観測をはじめとする水文観測のための測定機器として、安価で大量に設置が可能な大型転倒升流量計を自作し精度検証を行った。自作転倒升は一転倒当たり200cc程度で、プラスチックボックスや補強アングルで作製し、転倒回数をデータロガーで記録した。ロガーを除いた1機当たりの作製費用は5,841円であった。まず一転倒当たりの流量を算定し検定曲線を作成するため、室内で0~70cc/secの流量をつくり検定を行った後、スギ人工林内に設置し樹幹流量と林内雨量の測定に利用した。精度検証として、自作転倒升を流下した水全量をバケツに貯留し、観測期間ごとの総流量を比較した。その結果、現地で発生した最大流量が約29cc/secのところ、概ね誤差5%以内で測定が可能であるが、8%程度の誤差が生じてしまう機器もあることがわかった。また転倒回数記録の時間間隔は、1分としても10分としても殆ど相違の無いことがわかった。今後は経年劣化による精度への影響などの検討が必要だと考えられる。

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