日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: I10
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学術講演集原稿
風台風による落葉がスギ・ヒノキ人工林における二酸化炭素フラックスの長期変動に及ぼした影響
*清水 貴範清水 晃熊谷 朝臣玉井 幸治小林 政広石塚 茂宏
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抄録

スギ・ヒノキは我が国の主要な植栽樹種であり、その林分は国土の20%以上を占める。九州地域は台風の進路となることが多く、森林はしばしば大きな被害を受ける。2004年の台風18号は観測史上でも有数の大型台風であり、日本各地に強風と豪雨による被害をもたらした。そこで、九州北部のスギ・ヒノキ林におけるCO2交換量が、この風台風の通過によってどのように変動したかについて、解析を行った。観測地は熊本県山鹿市の鹿北流域試験地で、高さ50mの観測タワーの最上部に超音波風速計と、大気を赤外式ガス分析計に導流するための吸引口を設置して、渦相関法によるCO2交換量観測を行った。さらに試験地では、光学的手法による植生面積指数(PAI)とチャンバー法による土壌呼吸量を月1回の頻度で定点観測した。台風18号通過直後、PAIは例年の同時期にはない減少傾向を示し、土壌呼吸量は2004年よりも2005年で増加した。これらは台風による落葉・落枝の増加に起因するものと考えられた。一方、渦相関法による夜間呼吸量推定値と気温との関係には2004年・2005年で大きな違いが見られず、生態系全体の呼吸量は台風によって大きく変化しなかった可能性が示唆された。

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