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第128回日本森林学会大会
セッションID: I3
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学術講演集原稿
火山地域を対象とした豪雨と表層崩壊の関係について-伊豆大島を事例として-
*執印 康裕
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キーワード: 火山地域, 豪雨, 表層崩壊
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抄録

火山地域では表層崩壊の潜在すべり面において明瞭な不透水層が存在するとされる堆積岩地域等と比較して透水性が高いため表層崩壊が発生し難いことが一般論として認識されているが,東京都伊豆大島・大島町においては2013年10月15日から16日未明にかけて,台風26号による豪雨によって山腹斜面上部の広範囲にわたって発生した表層崩壊それに引き続く土石流により山裾に位置する元町地区,神達地区周辺を中心に甚大な土砂災害が発生した。同地域の過去の記録的な土砂災害については,1958年の狩野川台風によるものが報告されているのみである。本検討においては,大島AMeDAS において1950年から2015年まで観測された降雨データから災害発生2イベントを含む豪雨22イベントを抽出し,これを実効雨量の概念を組み込んだ空間分布型モデルに入力することで,豪雨と表層崩壊の関係性について検討を加えた。検討の結果,表層崩壊発生には表面地形条件による側方流よりも潜在すべり面における応答パラメータとしての鉛直方向の透水係数の値と降雨の鉛直浸透に伴い土層中に発生した一時的な地下水面が崩壊発生に大きく寄与していることが示唆された。

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