日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: H7
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学術講演集原稿
攪乱等により破壊された団粒の再形成過程の検討
*小野 裕丸子 実華
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抄録

シカの踏圧などの攪乱により破壊され小径化した団粒の再形成過程を明らかにする目的で,室内培養実験を行った。ヒノキ人工林内のシカの踏圧を受けた箇所から,A層の団粒試料(<1mm)を採取し,H層の腐植試料を異なる割合で混合させ(0%,10%,20%),培養試料とした。培養は25℃の恒温器内で行い,1週間に1回,噴霧にて給水した。培養0,4,8,12,16週後に,顕微鏡観察,団粒分析試験(水中篩別),全炭素・全窒素の測定を行った。その結果,いずれの腐植率でも,培養期間が長いほど団粒の結合が進み,1mmより大きい構造の発達が認められ,培養試料の体積も増加した。また,1mm以上の団粒百分率は,腐植0%では培養16週で,腐植10%では8週で,腐植20%では12週以降で培養開始時に比べ有意に高い値となった。全炭素量はいずれの腐植率においても培養期間が長いほど低下する傾向が得られた。これらから,破壊・小径化した団粒が,培養によりに再結合し,耐水性の構造が形成されたことが確認でき,団粒の再結合には腐植量が関連すると考えられた。また,構造の発達に伴い孔隙量が増え,試料の体積が増加したと考えられた。

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