日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: S7-2
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学術講演集原稿
日本のスギ人工林を地下で支えるアーバスキュラー菌根菌
*佐藤 拓巽 大喜呉 炳雲松下 範久
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抄録

 アーバスキュラー菌根菌(AM菌)と植物との共生は,植物が陸上に進出してきた4億年前に始まったと考えられており,現在では陸上植物種の8割がAM菌と共生していると推測されている.AM菌は,土壌から吸収したリンなどの無機養分を,根の皮層細胞内に形成した樹枝状体(arbuscule)と呼ばれる器官を介して宿主に供給することで,宿主の成長を助けている.外生菌根とは異なりAMが形成されても根の外部形態は変化せず,大型の子実体(キノコ)を形成するAM菌も存在しないため,森林の中ではAM菌は目立たない存在である.また,亜寒帯から温帯にかけての森林の主要な構成樹種であるマツ科やブナ科は外生菌根性の樹木であるためか,森林科学の分野ではAM菌の研究は少ない.しかし,我が国の森林面積の2割程度を占めるスギはAM菌と共生関係にあることが知られており,スギの成長にとってAM菌との共生は不可欠であることが確かめられている.本発表では,スギ人工林におけるAM菌の群集構造,およびスギに対するAM菌の成長促進効果について,これまでの研究から得られた知見を紹介する.

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