【はじめに】造林の初期コストを削減する1つの方法として、下刈りの省略化が求められている。しかし、下刈りを省くと被圧による生育不良や、雪害などの諸被害が懸念される。そこで、下刈り回数の違いが樹高成長へ及ぼす影響や成長阻害要因を調べ、その省略方法を検討した。【方法】秋田・岩手県の3カ所に、スギコンテナ苗を植栽し下刈りの有無区を設けた。また、大苗(60cm)植栽の1林分を含む下刈り回数削減の3林分を試験地に選定した。各試験区において、植栽木の成長や阻害要因の発生状況、競合植物の繁茂状況などを調査した。【結果】コンテナ苗の植栽後、2年間の無下刈区では、繁茂した競合植物の下敷きとなる雪害や、翌夏初めての下刈り時に誤伐が増え、2年目は下刈りが必要と判断された。また、7年生の大苗植栽区では、植栽後の下刈り回数は1回であったが被圧の影響は少なく、良好な生育を示した。さらに、植栽後4年目と6年目以降の下刈りを省略した7年生林分では、植生による被圧の影響が極めて少なかった。これらのことから、下刈りは、2-3年生,5年生の実施が望ましく、また、大苗を植栽した場合、1回の下刈りで済む可能性も考えられた。