日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T23-12
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観光とレクリエーション
パラオ共和国の森林観光開発における地域住民の参画
*武 正憲飯田 晶子
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抄録

我が国では,地域自然資産法が成立し,自治体が利用者に受益者負担を求める法的根拠が整備された。パラオ共和国は人口約1.7万人の小さな島嶼国だが,年間10万人以上の観光者が訪れる観光立国である。中央政府は2006年に自然保護基金を設置し,2009年に環境税を導入し,観光者へ受益者負担を求める保全政策を実施した。パラオはダイビングスポットとして有名だが,近年,森林地域での観光開発が行われている。本研究は,バベルダオブ島北部ガラスマオ州のガラスマオの滝の森林観光開発を事例に,聞き取り調査と資料調査から,森林観光開発の経緯を整理し,地域住民の参画状況把握と自然環境への影響把握を目的とした。州政府は滝を含む森林地域を保護区に設定している。保護区内での自然保護活動と観光開発の資金は,州政府が独自に徴収する入域料と中央政府からの環境税分配による。従業員として地域住民10名(居住人口195人)が雇用され,入域料の徴収や施設の管理運営を担っており,地域経済への貢献は大きい。また,2009年から韓国資本が導入され,モノレールなどの観光施設が整備された。一方で,開発以降,野鳥が見かける機会が減少するといった影響も明らかとなった。

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