日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T04-03
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T4. 現代の育林経営の諸問題とビジネス化の展望
ニュージーランドにおける中小規模所有者による森林管理の現状と課題
*安村 直樹立花 敏
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抄録

 本報告ではニュージーランド(NZ)における中小規模(1,000ha未満)の森林所有者を対象に所有目的、経営方針等の把握を行い現状と課題を明らかにする。1990年代の第3次造林ブームの造林主体は大規模層と中小規模層であり(柳幸2006)、植林されたラジアータ松(RP)が伐期を迎えつつある中で中小規模層の動向把握は重要性を増している。だが、NZの中小規模層の経営動向の把握はJulieら(2011)に限定される。そこでNZ農家林家協会に被験者選定を依頼する等し、2014年2月と11月に中小規模層17名を対象に聞き取り調査を実施した。内訳は都市在住の投資家6名、北島中南部で農林業を営む11名である。彼らの人工林面積は0~630haであり、浸食管理や家畜保護のために管理される森林もあるが、基本的に多くは資産形成を目的とする。従ってその動向は木材価格や管理費用等の林業を取り巻く環境に左右される。市況によっては伐期を大きく前倒す等の経営の可変性に富む。それだけに今後に良い見通しをもてなければ再造林されない。他方、大規模層も含めて木材生産に27セント/トン課税し、RPの品種改良等の研究開発を行う取組が2014年から始まり注目される。

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