日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B076
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遺伝・育種部門
アオヤジロにおける葉部色素含量の季節変化
*佐藤 博文澁谷 栄高田 克彦
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抄録

【目的】アオヤジロは天然秋田スギの突然変異種とされ、夏季に樹葉が黄化するという特徴がある。本研究ではこの外観上の変化について物質的な検証を行った。【方法】4系統のアオヤジロを用いて6、7、8、9、11月および翌1、4月に針葉を採取し、1年葉、2年葉に含まれる色素成分の定量分析を行った。分析にはHPLCを用い、450nmの吸光度において各色素を検出した。比較対照として精英樹3系統および黄金スギ1系統についても同様の分析に供した。【結果】検出された主な色素は、ルテイン、クロロフィルa、bおよびα、β-カロチンのみで、アオヤジロに特異的な色素や冬季に増加するロドキサンチン等はみいだせなかった。各色素含量は、黄金スギの例を除き、α-カロチン以外いずれも1~4月をピークとして6月から徐々に増加する傾向にあった。アオヤジロの色素含量は、いずれも四季を通じて精英樹より低濃度で推移した。特に、1年葉では9月以降のクロロフィル(a+b)含量の低下が目立ち、精英樹、黄金スギが1.0(mg/g新鮮葉)以上を維持するなか、1月まで0.5弱と半分以下の量で推移していたことから、樹葉黄化の主要因となっている可能性が示唆された。

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