日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B027
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生態部門
シカ食害環境下におけるナラ枯れ被害地の実生発生と林内環境の関係性
*榊原 菜々長島 啓子田中 和博
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抄録

ナラ枯れの拡大に加えてシカの食害問題が広がり、ナラ枯れ被害地の植生回復は困難を極めている。そこで、ナラ枯れ被害地の植生回復とシカの食害の関係を明確にするため、本研究では被害地において林内環境やシカ防護網の有無が実生発生に与える影響を明らかにした。京都市宝ヶ池公園内の西向き及び東向き斜面にそれぞれ毎木調査プロットを設置した。その中で落ち葉掻きをした後、シカ防護網を設置した実生調査区と設置していない対照区を3~5箇所ずつ設置し、全天空写真撮影及び土壌硬度調査を行った。毎木調査の結果、西向き斜面では21種、512本の樹木を記録し、そのうちの8本がナラ枯れにより枯死していた。東向き斜面では18種、237本のうちの12本がナラ枯れ枯死木であった。胸高断面積合計割合は両斜面でコナラ属樹木が60%前後を占め、その他西向き斜面ではコバノミツバツツジやタカノツメ等が、東向き斜面ではアカマツやリョウブ等が確認された。実生調査より、両斜面ともに調査区では対照区よりも個体数の増加が顕著に見られ、増加数が斜面位置によって異なっていた。斜面位置の違いにも注目し、空隙率等の光環境や土壌硬度と実生発生の関係を考察する。

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© 2015 日本森林学会
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