植物とその根につく菌類(菌根菌)との共生は最も普遍的な共生の1つである。植物は光合成により二酸化炭素から炭水化物を作り出して菌類に与える。一方の菌類は土壌中のリン酸や窒素などを取り込んで植物に供給する。
本研究では、植物が炭素だけを獲得でき、菌はリンだけを獲得できると仮定し、数理モデルを使って最適な資源分配について議論する。植物と菌類が資源の分配を自ら調節できるとすると、取り込んだ資源を全て相手に与えるような戦略も最適となる場合がある。これは、取り込んだ資源の全てを相手に与えて相手の成長を促し、将来的に相手から受け取る資源を増やす事ができるためである。
また、資源の一部を相手に渡す場合について、より詳しい解析を行なった。成長がリービッヒの最小律に従う、すなわち、成長がより少ない資源によって制限されるような場合では、自分で獲得できない資源が重要な場合には双方が相手への資源分配を増やす。一方、自分で獲得できる資源が重要な場合には、自分自身は相手への分配を減らすが、相手はより多くの資源を渡すようになる。