森林生態系において樹木細根の多くは菌根化している。菌根のターンオーバーは早く、その枯死・脱落により土壌に供給される年間有機物量は落葉落枝など地上部からの供給量を遥かに上回る。また、菌根には有機態の窒素やリンが豊富に含まれることから、その分解は森林の物質循環や樹木の成長にも大きく影響することが考えられる。しかし、菌根の分解過程に関わるバクテリアの実像については殆どわかっていない。そこで本研究では、菌根の分解過程で出現するバクテリア群集を明らかにすることを目的とし、菌根試料をメッシュバッグにいれて林地に埋設する実験を行った、試料には、アカマツ林から採取した現地アカマツ細根系と針葉、および接種実験で作成した単一菌種のアカマツ菌根を用いた。埋設から1年後に回収した試料中のバクテリア群集を希釈平板法およびコロニーPCRを用いたシークエンシングにより推定した。その結果、バクテリア密度についてはアカマツ針葉で多い傾向が見られた他、菌根菌種により密度に差があることがわかった。属レベルの推定ではいずれのサンプルでもBurkholderiaが優占していた。