日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: T07-02
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森林炭素モニタリングシステム
森林生態系炭素収支の直接測定にもとづく将来予測へのシステムアプローチ
*山野井 克己溝口 康子宇都木 玄
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抄録

 陸域生態系、特に吸収源として重要な森林においても、炭素動態の正確な把握と将来予測のためには地上観測、衛星観測、陸域生態系モデルを連携させて詳細かつ多面的アプローチが必要となる。各手法間でのデータの相互利用と炭素収支の検証が、不確実性のある手法の改良と精度向上につながる。本研究では地上観測と生態系モデルの連携を例に、温暖化にともなう森林生態系の炭素収支の将来予測へのアプローチを示す。落葉広葉樹林(シラカンバ・ミズナラ)に生態系プロセスモデル Biome-BGC を適用し、現在の炭素収支の再現を行った。モデルの精度向上のためには、生態学的・土壌学的な地上調査データと気象学的な炭素収支データが初期条件や検証として必要である。現況を再現できるモデルパラメータを基に、現在の気候(2000-2009年)条件と温暖化(MIROC-H A1B)した場合の2100年までの炭素収支を比較した。温暖化した場合は現在の気候に比べて、生態系総生産量と生態系呼吸量がともに顕著に増加するが、生態系純生産量の差は小さかった。将来予測の精度を高めるには、現況の地上観測データの長期蓄積が不可欠である。

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© 2014 日本森林学会
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