日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: T06-09
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樹木根の成長と機能
根と土の中の水移動を定量化する方法
*荒木 英樹
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抄録

本講演では,作物がどのように水分状態や水吸収を制御しているのかを明らかにするために,演者らが行ってきた研究について概説する.【研究1】作物の傍に深根性植物を栽培し,その深根性植物がハイドローリックリフトで下層土壌の水を上層土壌にポンプアップすることで,作物に水を供給する「植物灌漑装置」の効果を検証した.さらに,給水効率を高めるために,土壌や根の透水係数,根量などの諸要因を考慮して,どの要因が給水速度を規定しているのかシミュレーションした.【研究2】作物の葉や根の一部を切除し,数日後に気孔コンダクタンスを測定した結果,気孔コンダクタンスはS/R比が小さいほど高くなった.我々はこの関係を利用して,葉を切除することによって,乾燥ストレスに曝された作物の収量低下を軽減できるかどうか検証した.【研究3】作物の根の通導コンダクタンスや根圧は,日中の時間や土壌の養分状態,水分状態によって大きく変化した.例えば,キマメは上層土壌が乾燥すると,下層土壌中の根の通導コンダクタンスを高くして水吸収速度の低下を軽減した.このような性質は,植物種の乾燥耐性戦略にも密接に関係していると考えられた.

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© 2014 日本森林学会
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