日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: P1-231
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動物
樹洞密度から見たムササビの生息環境
*大久保 央史中村 友美子安藤 元一
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キーワード: 樹洞, ムササビ, 林相
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抄録

樹洞が森林生態系の生物多様性に与える影響を見るために,樹洞性動物の代表としてムササビの生息の有無から調査地を選び,樹洞密度を比較した.調査地は東京都,神奈川県,長野県における標高100~1,400mの1)屋敷林と雑木林が混在する里山林,2)スギ植林と照葉樹林が混交した社寺林,3) スギ巨木社寺林,4)ミズナラ天然林,5)コナラ-クヌギ雑木林,6) カラマツ-ミズナラ林の6ヶ所とした.
ムササビが利用できる直径8cm以上の樹洞の密度をみると,ミズナラ天然林は24.6個/ha,針広混交社寺林は11.0,スギ巨木社寺林は8.6,里山林は2.8,雑木林は3.2,カラマツ-ミズナラ林は0.9であった.ムササビ生息密度は一般に社寺林で高く山地の森で低いとされるが,樹洞密度はその逆の値を示したことから,樹洞不足がムササビの生息制限要因とはなっていなかった.ムササビが利用できない直径1~8cmの樹洞の密度をみると,最大はミズナラ天然林の52.6,最小はスギ巨木社寺林の1.5となった.すなわち調査地は3タイプとなった:小さい樹洞の多い森(里山林,雑木林,カラマツ林),大きい樹洞の多い森(スギ巨木社寺林),大小どちらも多い森(ミズナラ天然林と針広混交社寺林).

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© 2014 日本森林学会
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