日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: L10
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樹病
都市化による森林の孤立が関東平野の樹木葉内生菌群集に与える影響
*松村 愛美福田 健二
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抄録

都市孤立林では,島嶼などと同様に感染源や胞子分散が限られることで,山地林に比べ,菌群集の多様性の低下が起きている可能性が考えられる。そこで都市化による森林の孤立が温帯林の樹木葉内生菌群集に与える影響を明らかにすることを目的として,関東平野の4都市近郊林と1山地林を対象に植生調査,環境調査を行い,計7目9科17種の樹木の葉から内生菌分離を行った。その結果,都市近郊林では,宿主密度が高いほど宿主特異的菌の分離頻度が高かった。内生菌群集の類似度が宿主系統距離,樹木間距離,光環境と関連するかを偏マンテル検定により解析した結果,都市近郊林では樹木間の距離が近いほど種組成が類似すること,宿主系統より樹木間距離の影響がより強いことが示唆された。よって,都市近郊林では森林の孤立化による宿主特異的菌の感染源の制限により広宿主範囲菌の優占度が高まり,葉内生菌群集の樹種間差異が小さくなるため,個々の樹木個体の内生菌群集は近傍の樹木個体と類似する傾向を示すようになると考えられた。

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