日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: C24
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樹病
千葉市の実生スギにおける暗色枝枯病の発生
*幸 由利香福島 成樹惠 貴子
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抄録

【目的】近年,千葉県では若齢の実生スギに溝腐型の被害が発生している。この原因を明らかにするため,千葉市において被害林の調査を行った。【方法】千葉市の実生スギ林(7~17年生)6箇所で20m×20mの調査区を設定し,目視による本数被害率を約50本ずつ調査した。また,被害木から玉切った円板を用い,菌の分離及び病気の発生推移を調べた。菌の分離は,変色部位,溝付近から採取した木片をアンチホルミンで殺菌後,PDA培地で培養した。病気の発生推移は,発病した痕跡(病斑の巻き込み跡,形成層壊死跡)がある年輪の形成時期を調べ,年毎に集計した。【結果】被害木は,幹に枯枝を伴う溝状の窪みが形成され,割材すると材の変色が認められた。全ての調査地においてMacrophoma属菌が高い割合(32~96%)で検出されたことから,暗色枝枯病による被害と推測された。調査地6箇所における本数被害率は31~70%であった。病気の発生推移と千葉市の年間降水量との間に相関は認められず,極端に病気の発生が増加した年は見られなかった。本病は干害等の気象要因による突発的発生と恒常的発生が考えられるが,今回の被害は全ての調査地で恒常的に発生していたと推測された。

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