森林療法は、その地域の森林に働きかけ、森林環境の健全化とともに、人間の心身の健康増進をはかることを目的の一つに据えている。
本事例では、福岡県柳川市の福祉作業所において、地域の放置林および森林公園を活用しながら取り組んだ森林療法の実践を報告する。
同作業所において2年以上の実践を行った結果、森林療法を導入したメリットとしては、作業所の新たな目標設定となったことをはじめ、作業所独自の特色、利用者と多様な視点で向き合えること、また利用者、職員共に通常の仕事からの解放感や、精神面での健康増進の作用を享受できることなどがあげられた。特に室内の作業では不適応の利用者でも、山林での作業には適応できる事例がみられた。
逆にデメリットとしては、山林での危機管理をはじめ、利用者への注意力が林内では低下すること、森林整備の方法、方向性がわからない、利用者自身の感想が不明、全利用者の一割くらいの参加にとどまってしまうことなどが上げられた。