日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: K21
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森林管理と渓流生態系:河川管理と森林管理の融合にむけて
森林施業が渓流性底生動物に与える影響
*吉村 真由美
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抄録

洪水などの自然的災害・伐採などの人為的災害が渓流の近くで起こっても、渓流の中に生息している水生生物たちは、これらの攪乱による渓流内での変化を受け止め、避難・移動しながら様々な方法で対処している。一次消費者の水生生物たちは渓畔林からの落ち葉や渓流内の石の上に形成された藻類を餌として取り入れている。それゆえ、大洪水のような攪乱が起きると、落ち葉は流され藻類は剥ぎ取られるため、一次消費者の水生生物たちは水中で餌を見つけるのが困難になる。その結果、直接的な影響は一次消費者の水生生物だけであったとしても、間接的には水生生物群集全体が大きな影響を受けることになる。渓畔において伐採などの攪乱が起きると、細粒の土砂の渓流への流入が増加し、水生生物の生息場所が変質・破壊するため、生息場所を失った水生生物は移動を余儀なくされ、水生生物の群集構造が変わってしまう。本シンポジウムでは、森林域における土地利用と水生生物群集の変化について話題を提供する。これがきっかけとなり、水生生物相やそれらの生活史研究が進み、森林管理の際に渓流に生息する水生生物の分布や生息場所により多くの配慮が施されるようになること期待する。

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