日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: I13
会議情報

山地森林流域からの水流出予測精度の向上にむけて
山地河道における降雨時の水の流れとマニングの粗度係数の実測
*浅野 友子内田 太郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

国土の60%以上を急峻な山地が占める日本では、大きな降雨時の山地河道の水理・水文特性を理解することが土砂災害や洪水による被害を減ずるために重要である。しかし、山地河道は複雑な形状をしている上に、降雨時には急激に大きな流れの変化が生じるため観測が難しく、不明な点が多い。そこで山地河道における降雨時の水の流れと河道抵抗の変化の実態解明を目的に、伊豆半島にある東京大学樹芸研究所青野研究林の川幅約10mの階段状河道で調査を行った。平水時には明らかに水の流れ方の異なるステップ部とプール部において断面形状を測量し、水深と表面流速を1分間隔で観測し、マニングの粗度係数を計算した。総降水量288ミリの降雨中に、水深は0.35から1.57m、表面流速は0.4から4.2m/sと大きく増加し、粗度係数は0.27から0.05と急激に小さくなった。洪水時の水深と流速の関係は、ステップ部とプール部で異なっていたが、粗度係数は似たような値となった。このことから流量が増加するに従い、ステップ部とプール部の水面勾配が一様になり、抵抗が局所的な河道形状に依存する状況から、河道の全体の形状に依存するようになることが示唆される。

著者関連情報
© 2013 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top