東日本大震災津波にからの被災地の復興に向け,防災機能を可能な限り強化する方向で海岸林の再生が計画され,その際,従来のクロマツだけの植栽ではなく,前線部以外の立地であれば積極的に広葉樹を導入することも検討されている。 よって本研究では,今後の海岸林再生における耐塩水性の視点からみた広葉樹の樹種選択の際の指標づくりを目的とし,宮城県仙台平野(滞水時間が数日間に及んだと思われる)の屋敷林と社寺林を調査対象として,樹木調査と聞き取り調査による広葉樹の浸水被害とその後の回復状況を把握して,多くの屋敷林や社寺林で確認された9種類の樹木(うち1種は既存の海岸林での主要樹種であるクロマツ)について,耐塩水性の樹種間の優劣の決定と全体の順位付けを実施した。 その結果,マサキはクロマツとほぼ同等の耐塩水性があると評価できたほか,ヤブツバキ,ケヤキ,エノキも順位付けで上位となり,これらの樹種も耐塩水性が強いと評価できた。よってこれら順位の高い樹種は,今後の海岸林再生において耐塩水性の強い樹種としての利用が期待できる。