日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: F05
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森林水循環・フラックス研究における長期観測の意義
カンボジア国低地落葉林を構成する上層木と下層植生の蒸散量
*飯田 真一清水 貴範玉井 幸治壁谷 直記清水 晃Chann SophalKeth Nang
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抄録

カンボジア国で最も代表的な森林植生である低地落葉林は上層木と下層植生で構成されている。上層木の落葉広葉樹は立木密度が低く非閉鎖の林冠を有し、下層植生はアズマザサ属を主体として雨季には密に繁茂している。したがって、下層植生の蒸散量は相当量に達するものと予想されるが、上層木と下層植生それぞれの蒸散量を定量的に評価し、蒸発散量に対する寄与率を解明した研究例は存在しない。そこで、低地落葉林分を構成する落葉樹12個体について樹液流速測定法を適用して蒸散量(TRSAP)を評価した。また、高度30mのタワー頂上部および上層木の林冠下にあたる高度5.5mにおいて、バンドパス渦相関法を適用し、全蒸発散量(ETW)および下層植生の蒸発散量(ETU)を計測した。これらの結果、ETWとETUの差として推定される上層木の蒸散量はTRSAPと良く一致し、観測林分ではETWの50~60%が上層木の蒸散量、40~50%が下層植生からの蒸発散量であることが明らかとなった。当日の発表では、飽差に対する上層木のtotal conductanceの応答特性と落葉樹の植物季節との関連性についても考察を加える予定である。

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© 2013 日本森林学会
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