日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: E03
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樹木の成長と環境
タケ類の一斉開花過程における花成制御遺伝子の発現解析
*久本 洋子
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抄録

 一般に、タケ類は多年生一回繁殖型植物で、数十年に一度、一斉に開花・枯死するという特異な生活史を持つ。自生地外に移植した複数の株が異なる環境下で同時期に一斉開花したことから、一斉開花現象には外的環境因子よりも内的遺伝因子が強く関与していると推察された。しかし、どのようなメカニズムによって長期間の栄養繁殖から有性繁殖への転換を制御しているのかは未だ不明な点が多い。
 シンポジウムでは、イネやシロイヌナズナといったモデル植物の遺伝子情報を手掛かりとして、タケ類における花成制御遺伝子の発現様式を解析した結果を紹介する。
 2004年および2008年にそれぞれ一斉開花したモウハイチクPhyllostachys meyeriおよびトウオカメザサShibataea chinensisの生活史を調査し、各器官における花成促進遺伝子FTおよび花成抑制遺伝子TFL1/CENホモログの発現量の年次変化を定量RT-PCR法によって解析した。その結果、FTは葉で、TFL1/CENは茎頂分裂組織で発現するというモデル植物の研究報告と一致した発現パターンを示し、タケ類の開花に花成制御遺伝子が関与することを示唆した。

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