日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: D37
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林政
小規模私有林の相続実態に関する研究~熊本県天草地域を事例にして~
*佐藤 宣子山田 茂樹
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抄録

  私有林において相続を機に、不在村所有や境界不明森林が増加するなど、森林管理水準が低下することが懸念されている。林地相続の実態を的確に把握し、必要な施策を講じることが求められている。林地相続にあたっては地域の相続慣行、所有規模、資源構成、木材の市場および労働市場の条件などによって地域的な差異があることが指摘されているものの、近年、実証的な研究はほとんどみられない。本研究では熊本県天草地域を事例として、小規模零細私有林地域の相続実態を森林組合資料および森林所有者23人への対面調査を基に考察した。天草地域森林組合は最高20年の長期施業受託を推進し(2012年1月現在1,869名)、施業受託契約を機に、相続予定者の把握と次世代までの委託契約を継続するための「包括承継予定報告書」の提出を推進している。23名の調査者については21名が長期施業受託契約を森林組合と結んでいるが、相続予定については同居後継者の有無、現所有者の相続履歴、農林業就業状況によって違いがみられた。子弟が都市在住の場合、分割相続が予定されている場合が多く、不在村化と同時に林地の細分化が進行していることが示唆された。

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