日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: C41
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造林 II
高木性樹木の樹形形成過程における光屈性と重力屈性
*松崎 潤益守 眞也丹下 健
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抄録

光環境が空間的に偏っている林地斜面において、高木性樹木の樹形形成過程に光屈性が寄与している可能性を検討した。スギ、アカマツ、シラカシ、コナラの4種について林地斜面における成木の主軸傾斜を測定した。コナラで大きくシラカシ、アカマツが同程度でありスギで小さかった。苗木において主軸の光屈性と重力屈性の樹種特性を把握した。側方から照射した処理に対する光屈性による主軸傾斜の変化はコナラで大きく、シラカシ、アカマツ、スギで小さかった。人為的に傾斜させた処理に対する重力屈性による主軸傾斜の変化はアカマツで大きくスギ、シラカシ、コナラの順だった。側方から照射し人為的に傾斜させた処理に対する直立化反応は、各樹種の光屈性の強さに応じて抑制されていた。林地斜面における成木の主軸傾斜と苗木の光屈性の強さとが有意な相関を示した一方、苗木の重力屈性とは有意な相関を示さなかった。林地斜面における主軸傾斜を規定する過程として、斜面崩壊などの外力による受動的な主軸の傾斜とそれに対する重力屈性による直立化反応の強さではなく、光環境の空間的な偏りとそれに反応する光屈性の強さがより寄与していることが明らかになった。

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© 2004 日本林学会
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