日本林学会大会発表データベース
第114回 日本林学会大会
セッションID: P2011
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経営II
林道開設効果の検討
神奈川県西湘地区を事例として
*伏見 みづき
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キーワード: 林道
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抄録

林道開設効果の検討?神奈川県西湘地区を事例として?○ 伏見 みづき・増谷 利博(日大生物資源) 1.目 的 近年、人々の森林に対する関心や期待はますます高まってきている。しかしその反面で、我が国の林業は外材との価格競争、林業従事者の高齢化等により衰退の一途をたどっている。様々な機能を果たす健全な森林づくりをしていくためには、森林整備にかかるコストをいかに低減できるかがポイントとなる。そうした中で、林道の開設は森林整備を促進するとされ、林道開設事業計画は現在も進められている。そこで、林道の開設が森林整備にどれだけの効果を、また、整備以外にどのような効果をあげているのかを調査し、林道が森林に与える効果を検討する。2.対象地概要 対象地は神奈川県西部に位置する西湘地区である。今回対象とした林道は、起点を小田原市久野、終点を箱根町千石原とした、2市町にまたがる足柄幹線林道である。全長16,346m(幅員4m)で利用区域の森林面積1,130ha、森林蓄積188,036㎥で、林道開設は昭和12年度から15年度と古く、小田原市と箱根町の連絡道としての役割を果たしている。3.方 法 GIS(ArcView3.2)を用いて小田原市森林計画図よりデータマップを作成する。そして林道から100mのバッファゾーンを設け、そこに含まれる林分について検討を行う。 空中写真(1967年、1977年、1988年、1999年の4年代)から各林分の林相や樹冠粗密度の変遷を読み取る。さらに施業履歴と現地調査から各林分の施業実績を調べ、林道と周辺の森林の整備実績との関連を検討する。4.結 果 現在、この地区はヒノキを中心とした人工林が多く存在している。1967年当時は幼齢林も目立っていたが、現在はその林分が生長し、ヒノキ林の割合が増加している。 近年も間伐や枝おろしが行われており、手入れが行き届いた良好な状態の森林が育まれている。5.考 察 今回対象とした林分においては、林道の周辺の森林については整備が行き届いており、林道が森林整備に効果をあげているといえる。また、整備以外にも、小田原市と箱根町を結ぶアクセス道路として、周辺住民の生活道路としての機能も果たしており、この地域においてこの林道は重要な役割を果たしていることがわかった。今後は、調査対象範囲を広げて同様の調査を行い、林道が森林整備にもたらす効果について、さらに事例的検討をおこなっていくことが必要である。

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