人工知能
Online ISSN : 2435-8614
Print ISSN : 2188-2266
人工知能学会誌(1986~2013, Print ISSN:0912-8085)
インタラクション設計に基づくマルチエージェントシミュレーション(人工知能学会論文誌アブストラクト)
村上 陽平石田 亨河添 智幸菱山 玲子
著者情報
解説誌・一般情報誌 フリー

2003 年 18 巻 5 号 p. 605_2

詳細
抄録

グループダイナミクスなどの社会現象のマルチエージェントシミュレーションを行う際に重要となるのは,エージェントあるいは人間間のインタラクションを容易に表現できることである.そこで我々は,大規模な社会シミュレーションを実現するために,応用領域の専門家が複雑なインクラクションを容易に記述できるよう,シナリオ記述言語QとIPC(Interaction Pattern Card)を開発した.これらは,従来のエージェント記述言語のように,エージェントの内部メカニズムのモデル化およびその記述に焦点を当てるのではなく,外界とエージェントとのインタラクションだけに焦点を当てている.つまり,エージェントがどのようにして振る舞うのかを記述するのではなく,エージェントに何をさせるのかという依頼を記述することでエージェント群の制御を試みる.また,このような視点の変更により,従来のプログラミングプロセスとは異なり,シナリオを記述するシナリオライタとエ-ジェントシステム開発者との協力を可能にする記述プロセスが必要となる.そこで,シナリオを記述するためのプロセスとして「語彙の決定],「シナリオの記述」,「インタラクションパターンの抽出」,「実・仮想空間での実験のインタリーブ]という4ステッププロセスを確立した.最後に,これらの提案したシナリオ記述言語とシナリオ記述プロセスの有効性を評価するために,災害での避難シミュレーションに適用し検証を行った.その結果,過去に行われた実空間での統制実験の結果をシミュレーションによって追試することに成功し,提案手法の有効性を確認した.

著者関連情報
© 2003 人工知能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top