日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PC-7
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C 放射線発がん
ラット放射線誘発乳がんに特徴的なマイクロRNAが乳がん細胞株に与える影響
*飯塚 大輔今岡 達彦西村 まゆみ河合 秀彦鈴木 文男島田 義也
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抄録

【目的】原爆被爆者の疫学調査において,女性における乳がん発生リスクが高いことが知られている。しかしながら放射線による乳がん発生メカニズムについては未だ明らかにされていない。近年,非コードRNAの中でもマイクロRNA(miRNA)が腫瘍化を引き起こす因子として同定されてきており,我々は幾つかのmiRNAがラット放射線誘発乳がんで発現異常を示すことを見出している。本研究ではこれらmiRNAの乳がん細胞株での機能解析を行うことにより,放射線誘発乳がん発生メカニズムに関わるmiRNAの同定を目標としている。
【方法】ヒト乳がん細胞株MCF-7ならびにラット乳がん細胞株BICR/M1Rkを使用し,放射線誘発乳がんで発現異常を示したmiRNAの塩基配列をpcDNA6.2 N/EmGFPに組み込み,細胞に導入した。また,miR-135bに関してはprecursor(Pre-miR-135b)またはinhibitor molecule(Anti-miR-135b)を導入した。
【結果】放射線誘発乳がんで有意に増加していたmiR-135b,miR-192,miR-194,miR-211をBICR/M1Rk細胞に導入し,細胞増殖を検討したが,細胞増殖に与える有意な影響は見られなかった。前述のmiRNAのうち,最も発現変動が見られたmiR-135bに関して,また,MCF-7細胞においてPre-miR-135bまたはAnti-miR-135b導入では細胞増殖に関してほとんど影響を与えなかったが,17β-estradiolによる細胞増殖能亢進がAnti-miR-135bで有意に抑制されていた。これらmiRNAの細胞増殖以外に与える影響を今後検討する予定である。

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© 2010 日本放射線影響学会
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