日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: CP-2
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放射線発がん
低線量率γ線連続照射マウスに生じた悪性リンパ腫のマイクロアレイ法による遺伝子発現解析
*藤川 勝義田中 聡タナカ イグナシャIIIブラガ一戸 一晃中村 正子小木曽 洋一田中 公夫
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抄録

我々はこれまでに、低線量率・高線量放射線(21 mGy/day, 8000 mGy)を長期連続照射したB6C3F1マウスでは、早期の腫瘍死による寿命短縮がみられることを報告している。腫瘍の多くは悪性リンパ腫であるが、非照射群と比べてその発生率に差はみられない。本研究では低線量率・高線量放射線照射マウスに生じた悪性リンパ腫(RL)の遺伝子発現の特徴を遺伝子発現マイクロアレイ法により網羅的に解析し、非照射マウスの悪性リンパ腫(CL)と比較した。悪性リンパ腫試料40例(RLおよびCL各20例)から抽出したmRNAをCy3で標識し、Agilent社の44kマイクロアレイへhybridizeして解析した。得られた遺伝子発現プロファイルを比較し、CLに比べRLで発現が高い遺伝子を418個、低い遺伝子を406個それぞれ抽出した。抽出した遺伝子をGene Ontologyに基づいて分類した結果、RLで発現が高かった遺伝子は「immune response」、「positive regulation of cell proliferation」等に、低かった遺伝子は「cell cycle」、「apoptosis」等にそれぞれ分類された。以上の結果から、RLとCLでは異なる遺伝子が悪性リンパ腫の発生に関与している可能性が示唆された。本研究は、青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。

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© 2008 日本放射線影響学会
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