主催: 日本放射線影響学会
共催: 北九州市, 産業医科大学
【目的】近年、発達期における放射線の影響について注目されているが、詳細な報告は少ない。そこで我々は、発達期および成体期における放射線被ばく時年齢依存性について、生体組織の中でも特に放射線感受性の高い腸管のアポトーシスを指標に比較し、発達期における放射線の急性影響について検討した。
【材料と方法】発達期および成体期の腸管を比較検討するため、初めに胎児期18日齢~生後7週齢の腸管をHE染色で形態学的に観察し、各発達段階における特徴を把握した。次に、授乳期(2週齢)および成体期(7週齢)でX線2Gyを全身照射し、照射後3時間、6時間、12時間、24時間における小腸ならびに大腸のアポトーシスをactive caspase3抗体染色により判定した。各群ともに雌雄3匹ずつ用い、apoptic index(half crypt当たりのアポトーシス細胞数)を測定した。
【結果】形態学的観察の結果、胎児期や生後直後には認められなかったcrypt構造が、授乳期である2週齢では小さいサイズながらも認められ、成体期である7週齢では成熟した構造として観察された。次に2週齢と7週齢における放射線誘発アポトーシスを比較した予備的な実験では、アポトーシス細胞数がピークに達するまでの時間に差がみられた。現在我々は個体数を増やして解析を進めており、さらに詳細な結果を報告する。