日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: EP-142
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放射線効果の修飾因子
ビタミンC配糖体負荷によるマウス脾細胞における放射線照射後のアポトーシス抑制効果と抗酸化酵素活性の変化
*木梨 友子増永 慎一郎鈴木 実菓子野 元郎小野 公二
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抄録

【目的】坑酸化物質のアスコルビン酸は放射線照射時の正常組織の防護剤として使用され放射線治療後の副作用の抑制効果が報告されている。生体におけるビタミンCによる放射線防護効果を検証するため、アスコルビン酸血中濃度が長時間持続するビタミンC配糖体(L-ascorbic acid 2-glicoside)を利用して、ビタミンC配糖体を負荷した時の、脾細胞のアポトーシス誘導への影響と放射線照射後の抗酸化酵素活性の変化を調べた。 【方法】マウス1匹あたり25mgのL-ascorbic acid 2-glicosideを経口ゾンデで胃内に投与後、ガンマー線を5Gy全身照射した。照射後、経時的に脾臓を取り出し、1-24時間後のアポトーシスをCell Death Detection ELISA(ロッシュ)を用いて酵素免疫法により定量的に測定した。抗酸化酵素活性については、照射後に下大静脈より採血するとともにマウスの脾臓を分離し、血中のcatalase と superoxide dismutase 、および脾臓組織のcatalaseとsuperoxide dismutase活性を測定した。 【結果】放射線照射後、ビタミンC配糖体投与群でアポトーシス変化の抑制効果が認められた。血中の抗酸化酵素活性についてはビタミンC配糖体投与により有意な変化はなかったが、放射線照射後の脾臓組織の抗酸化酵素活性はビタミンC配糖体投与群でcatalase 活性の増加が認められた。 【結論】ビタミンC配糖体を経口投与することで脾臓組織においてアポトーシスの誘導が抑制され、抗酸化酵素活性が増加したことより、生体におけるビタミンCによる放射線防護効果のメカニズムの一部が検証された。

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© 2007 日本放射線影響学会
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