日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: BP-221
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突然変異と発癌の機構
炭素イオンビーム照射による出芽酵母の突然変異誘発機構の解析
*松尾 陽一郎西嶋 茂宏長谷 純宏坂本 綾子鳴海 一成清水 喜久雄
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抄録

本研究は、イオンビームによる突然変異誘発のメカニズムを分子レベルで解析することを目的として、Saccharomyces cerevisiae野生株ならびにDNA修復欠損株を用い、イオンビームによる損傷とDNA修復の機序について解析することを試みた。
照射試料として野生株、二本鎖切断修復不活性株であるrad52欠損株、および酸化型核酸塩基前駆体8-oxo-dGTPの除去活性を失ったogg1欠損株を用いた。炭素イオンビーム(エネルギー:220 MeV,LET:107 keV/μm)の照射は、日本原子力研究開発機構イオン照射研究施設(TIARA)のAVFサイクロトロンを用いた。最も突然変異頻度が高かった照射区で得られた突然変異体のURA3領域(804 bp)をPCR増幅後、シーケンス解析によって変異位置を決定した。
その結果、rad52欠損株では、ヒストンタンパクと結合した部位にhot spotがあり、一方、野生株およびogg1欠損株では、ヌクレオソーム構造におけるリンカーDNA領域に局所的に変異が誘発された。また、変異パターンの解析から、イオンビーム誘発突然変異の要因として8-oxo-dGTPが大きく関与することが示唆された。

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© 2007 日本放射線影響学会
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