制御対象のシステム同定やフィードバック制御を行う際には,観測出力を得るために制御対象にセンサを取り付ける必要がある.このとき,高精度なセンサは大型で高価なものとなるが,対象の構造上の制約等から,大型のセンサを取り付けることが困難な場合がある.また,センサはできるだけ安価なもので構成できるほうがよい.このような場合に対して,周波数特性の異なる安価な複数のセンサ信号をフィルタを用いて合成し,特性の優れたセンサを構成する手法が提案されている.しかし,そのようなフィルタを用いて入出力間の周波数特性を平坦にする際には,ゲイン,位相の双方を同時に考慮しなければならないので,その設計は一般に自明でない.そこで本研究では,H∞制御を用いてこのフィルタを系統的に設計する手法を提案し,さらにレートジャイロ系へ適用することにより,その有効性を検証する.