進化計算によりニューラルネット(NN)を最適化する枠組みであるNeuroEvolution(NE)は性能のよいNNを獲得でき,広範囲の問題へ適用できることが期待されている.NNの適応度は,全例題集合中から選ばれた複数の例題をNNがどの程度解決できたかによって決まるため,NEにより獲得されるNNの性能は与えられる例題に大きく依存する.問題の特徴を表現するのに必要十分な例題を与えることが望ましいと考えられるが,一般にそのような例題を予め決定することは困難である.高橋らはNNと例題を共進化させることに基づく共進化型NE手法を提案し, 共進化を用いない場合に比べ,性能の良いNNを少ない評価回数で獲得することに成功している.しかしながら同手法には一旦特定された最適解がかならずしも集団中に維持されないなどの問題点がある.本研究の目的は,高橋らの手法の問題点を明らかにすると共に,同手法の改良版を提案し,その有効性を実験的に確認することにある.