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本稿は、サプライチェーンを構成する組織間のコミュニケーションの仕組みを、知価増殖を説明するモデルで例証したものである。ここで、組織間のコミュニケーションが十分になされている様子を松田が「組織知能」コンセプトの中で提案した「組織伝達」と捉えた。プリンシパルとエージェントの連鎖関係はサプライチェーンとみなせる。そこで、その間のコミュニケーションの仕組みを、筆者らが提案した「SEC・CIS結合モデル」で説明した。また、この典型的なケースとして建設作業における関係者間の不十分なコミュニケーションを原因とする事故を事例に取り上げた。なお、ここでは異なる組織に所属する人同士が、一つのプロジェクトで作業する場合に焦点を当てた。その結果、取り上げたサプライチェーンについて知価増殖ならびに組織伝達が発現する事例を示すことができた。