共催: 日本化学会, 日本化学会九州支部, 有機合成化学協会(協賛)
反応中心のβ位にアリール基をもつ化合物のソルボリシス反応では、フェノニウムイオンという特殊な架橋構造を持つカルボカチオンの生成が知られている。この系において電子求引性基によるカチオンの不安定化の効果およびCN基のような不安定化と同時に共鳴により安定化も与えうる置換基の効果を検討してきた。今回共鳴がありうる二重結合をもちかつ合成に重要な置換基のCOOMeをα位にもつβ-aryl-α-COOMe-ethyl triflateを合成し、それらの効果を検討した。アセトリシスでは、15%程度のksが見られたが、ほとんどはアリール関与kΔで転位生成物が得られ、phenylethyl体のkΔより102倍遅いとみつもられた。106倍の減速があったα-CF3体と比べると、共鳴と思われる加速がα-COOMe体ではあるためと考えられる。