気候変動から熱帯林や湿地環境の消失,水,大気,土壌の汚染,そして野生生物種の絶滅まで,地球規模で生じている環境問題が持つ,国際性と地域性。この二面性に対し,NGO(非政府組織)という民間の立場では,どのような取り組みを行なうことが可能なのか,世界約100 カ国に拠点を持つWWF(世界自然保護基金)を事例として国際環境NGO の役割と意義を考察した。国際的な政策提言と地域的なフィールド・プロジェクト,さらには先進国での行動変革を促す仕組みづくりなど,重層的な活動を実現するためには,各国の関連団体と協働が必須であり,国際環境NGO のネットワークが多大な役割を担っていることが示された。