中山間地域は最も過疎化が深刻な地域であり,人口減少社会の最前線にある。本稿では,地域振興の拠点である「道の駅」での林産物販売に着目し,中山間地域の住民による林産物利用が人と森,人と人をつなぐことにどのような影響を与えているのかを考察した。自家消費用や未利用であった林産物が「道の駅」という交流の起点で商品となることにより,森林の資源化を促進し,地域内外の人々の関係をつなぐツールとなっていた。地域住民の高齢化に伴い森林利用が減少する中,「道の駅」の林産物販売を通して集積された情報やネットワークの活用によって森を起点とした交流人口や関係人口を増やし,地域の活性化を促す仕掛けづくりが望まれる。