映像情報メディア学会技術報告
Online ISSN : 2424-1970
Print ISSN : 1342-6893
ISSN-L : 1342-6893
セッションID: IDY2015-16
会議情報
液相プロセスによるナノカプセルの作製とその諸特性(ディスプレイ材料・製造技術シンポジウム)
小林 芳男
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本講演では本研究室がこれまで手がけた液相プロセス技術によるナノカプセル、すなわちコア-シェル粒子の作製とその諸特性に関する研究を紹介する。これまでに対象としたナノカプセルのシェル材はシリカ(SiO_2)、ポリスチレン(PSt)、およびチタニア(TiO_2)である。SiO_2シェルによるコーティング、すなわちSiO_2ナノカプセル化に関しては、Au、Ag、Co、AgI、CoPt、PtRu、Gd化合物(GdC)、蛍光ビーズ、量子ドット(QD)およびGdCカプセル化SiO_2(SiO_2/GdC)をコアとして用いた。Au/SiO_2およびAg/SiO_2ナノカプセルコロイド溶液の消衰スペクトルの挙動はMie理論で説明できた。Co/SiO_2およびCoPt/SiO_2ナノカプセルにおいては、空気中での熱処理にもかかわらず、酸化されることなく結晶化が進行し、磁気的特性を発現した。PtRu/SiO_2ナノカプセルは触媒活性を示し、その活性は長時間安定であった。Au、AgI、GdCおよびSiO_2/GdCのSiO_2ナノカプセルはX線造影剤としての機能を発現した。GdCおよびSiO_2/GdCのSiO_2ナノカプセルはMRI造影能も示した。蛍光ビーズ/SiO_2ナノカプセルの蛍光強度は未ナノカプセル化のものと比べて長時間安定であった。QD/SiO_2ナノカプセルはマウスの臓器を造影する蛍光マーカーとして機能した。TiO_2シェルによるコーティング、すなわちTiO_2ナノカプセル化に関しては、SiO_2、PStおよびSiO_2/PStナノカプセルをコアとして用いた。SiO_2/TiO_2ナノカプセルはその良好な単分散性からフォトニック結晶の素材として利用可能であった。PSt粒子およびSiO_2/PStナノカプセルをコアとするSiO_2ナノカプセルは、それぞれ空気中での熱処理およびテトラヒドロフランへの浸漬によりPSt部分を除去可能であり、それぞれ中空TiO_2ナノカプセルおよびSiO_2を内包する鈴状TiO_2ナノカプセルへと構造の変化が可能であった。PStシェルによるコーティング、すなわちPStナノカプセル化に関しては、Au/TiO_2ナノカプセルをコアの対象とした。これにより、Au、SiO_2およびPStをそれぞれコア、内層シェルおよび外層シェルとする多層ナノカプセルを構築でき、無機材料と有機材料を複合化できることがわかった。

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 映像情報メディア学会
前の記事 次の記事
feedback
Top