2021 年 25 巻 1 号 p. 95-99
症例は70代,女性。全身倦怠感と血痰を主訴に近医を受診し,CT(Computed Tomography)で弓部大動脈瘤の切迫破裂を指摘され手術目的に当院へ緊急搬送された。画像上,瘤が左肺動脈と左気管支を圧排しており,右心負荷所見を呈していた。麻酔導入後の肺動脈圧は50 mmHg台と高値であった。開胸したところ肺動脈圧のさらなる上昇と低血圧を認めたため,完全体外循環を開始した。しかし,完全体外循環開始後も肺動脈圧が低下せず動脈圧と同値を示した。大動脈瘤肺動脈瘻を疑い,経食道心エコーで弓部瘤から肺動脈へのフローを確認した。人工心肺離脱時に術野で瘻を同定し直接閉鎖することで問題無く人工心肺から離脱可能であった。