2016 年 33 巻 2 号 p. 145-150
最近当科で経験した胸腺腫合併重症筋無力症の5例について,臨床症状や画像所見,病理所見,および血液中の自己抗体について検討した.患者はいずれも63歳以上の高齢(平均69歳)で,いずれも眼瞼下垂や複視の眼症状が主で,4例は眼筋型,1例は全身型であった.血液検査では全例に抗アセチルコリン受容体抗体が陽性,また抗titin抗体,抗インターフェロンα抗体の陽性例があり,筋特異的チロシンキナーゼ(muscle-specific tyrosine kinase: MuSK)に対する抗体陽性者はみられなかった.胸部CT検査では5例中4例に前縦隔に軟部影,1例で結節影を,PET検査を行った3例すべてで異常蓄積像を認めた.病理検査は手術を行った4例のうち,WHO分類AB型が2例,B3型が1例,嚢胞が1例であった.