2009 年 52 巻 6 号 p. 513-518
この研究では新しい世代のNi-Ti rotary instrumentであるプロテーパーの根管形成効果について,S字形の湾曲を有する規格透明プラスチック根管模型を使用して検討を行った.S字形根管は回転数とトルクを調整可能な低回転のエンジンX-Smartにプロテーパーを装着して形成された.根管は#15のKファイルで穿通後,SX,S1,S2およびF1の4種類のファイルにて形成された.60本の根管がプロテーパーの使用経験のない,6名の術者によって形成された.根管壁の削除量は術前,術後それぞれの画像を実体顕微鏡からコンピューターに取り込み計測を行った.根管形成が終了するまでの時間も計測した.歯冠側および根尖側の湾曲の内側がそれぞれ湾曲の外側より多く削除され,根管は滑らかなフレアー状に形成された.形成本数が増加するに従い,形成に要する時間は順次減少し,5根管形成後の形成時間はほぼ5分程度にまとまった.ファイルの破折は5根管に起き,レッジの形成も5根管にみられた.プロテーパーは初心者においてもS字状根管を形成するには適切であると考えられた.