2016 年 85 巻 5 号 p. 422-426
チャージポンピング(CP)法を用いて,単一のMOS界面トラップを個別に検出して評価する手法を考案し,全く新しい視点でトラップ物理の解明を進めた.従来のCP理論の根幹であるトラップ1個当たりの最大CP電流ICPMAX=fq(fはゲートパルス周波数,qは電子電荷)は誤りであり,0〜2fqのさまざまな値をとることを実証した.この結果は,界面トラップの正体がPbセンタであることを支持しており,さまざまなICPMAXを示す原因がトラップ準位対の形態の違いにあることを実証した.また,単一トラップのエネルギー準位密度分布(DOS)を導出し,Pb0センタのDOSと酷似していることを示すとともに,界面トラップのDOSはU字型とする定説に疑問を呈した.