2008 年 77 巻 10 号 p. 1206-1212
固体基板表面と生体分子の界面制御は,高機能・高信頼性を備えたバイオセンサーや生体分子と固体の複合デバイスを実現するうえで,重要な役割をもつ.固体表面へのたんぱく質分子の吸着と固定について概説し,サファイア表面を例として,固体表面構造制御が生体との相互作用に及ぼす効果を紹介した.たんぱく質分子の固定位置は,サファイア表面のステップ配列により制御され,また,ステップ再配列によって引き起こされる表面のドメイン構造により,たんぱく質分子の選択的吸着が行われる.人工生体膜である脂質二重膜のパターン形成も,原子レベルのステップやドメイン構造によって制御される.