抵抗ゼロで大電流を流せる超伝導線材は,電力,輸送,医療から通信・情報に至る広範な分野に応用が図られている.本文では超伝導線材とその応用開発の状況を紹介する.1960年代に開発されたいわゆる金属系超伝導線材のNb-Ti,Nb3Sn線材は,その信頼性の高さから現在でも応用の主流となっている.一方,1986年以降に発見された銅酸化物系高温超伝導体についても線材化の研究が順調に進められ,特にビスマス系に関しては長尺線材が市販されており,送電などの電力機器への応用が進められている.また,最近発見された金属系のMgB抹に関しても線材開発が進められている.