西日本畜産学会報
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沖縄肉用ヤギへの日本ザーネン種の遺伝子の移入率
平川 宗隆砂川 勝徳新城 明久
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2007 年 50 巻 p. 43-50

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抄録

日本ザーネン種が沖縄県に導入されて以来80年以上経過している.そこで, 沖縄肉用ヤギ11集団の4外部形質から表現型頻度と遺伝子頻度を求め, 沖縄肉用ヤギへの日本ザーネン種由来の遺伝子の移入率および外部形質における淘汰について集団遺伝学的に検討した.調査したヤギは5カ月齢以上の雌雄合計1, 338頭であった.調査は沖縄県下10島の11集団について, 2005年9月から2006年11月までの間におこなった.その結果, 沖縄肉用ヤギの外部形質に関する遺伝子頻度は, 有色qi=0.377, 肉髪なしqw=0.860, 有角qp=0.781であり, 毛髯と副乳頭の出現割合はそれぞれ65%と16%と推定された.これらの4形質について, 島別の沖縄肉用ヤギ集団への日本ザーネン種の移入率を推定すると, 形質間で移入率の違いはあるが, 平均すると伊平屋島は50%, 与那国島は52%と低かったのに比し, 宮古島は91%, 沖縄島北部は89%, 沖縄島中南部は77%と高かった.沖縄全体では平均69%となった.島間にはザーネン種の移入率に差が認められ, 2極化が進んでいることが示唆された.また, 毛色, 肉髯, 角および副乳頭の4形質に自然および人為の淘汰が働いているか否かを分析した結果, 有角 (p) および副乳頭なしの遺伝子において淘汰に対して有利であることが示唆された.

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